本日は日本の伝統的な吉祥文様の中から、青海波、鱗、そして七宝文様を、木製漆かんざしに大変希少な青貝(夜光貝)を贅沢に用いた螺鈿で装飾した大変美しいかんざしをご紹介させていただきます。普段の外出着から準礼装の装いまでおすすめです。(2026.05.掲載商品)

以前べっ甲で、鱗文様と七宝文様のかんざしを製作しましたが(いずれも程なく完売)、木製漆かんざしで青海波文様を用いたものは今回は初お披露目となりますでしょうか。
それぞれの木製漆かんざしの下に、以前ご紹介しましたべっ甲製の鱗文様と七宝文様のかんざしのリンクを貼っておきますので、ご興味の御座います方はぜひ合わせてご覧ください。
「蒼翠色に美しく輝く螺鈿かんざし2025|木製流水のきらめき簪」2025/03掲載商品

それでは今回初お披露目の青海波文様の木製漆かんざしからご紹介させて頂きます。

吉祥文様の青海波(せいがいは/せいかいは)は、扇の形を三重に連ねた形状は波を表しています。海原に無限に繰り返される、寄せては返す波は、永遠の象徴。未来永劫へと続く平安になぞらえた吉祥文様です。
ダイナミックな造形と海神(かいじん)の威信は武家にも好まれ、家紋としても多く描かれています。遠い昔、シルクロードを経て飛鳥時代から平安時代にかけて日本に伝わったとされています。(~おでかけ着物歳時記/秋月洋子著参照)

かんざしの裏には、この木製漆かんざしの製作者であり、同時に素晴らしい螺鈿を施してくださった、螺鈿蒔絵師の永真さん銘が入ります。

美しいネオンのような輝きですが、これはあくまで天然の貝に光が反射して発する天然の輝きになります。
彩度の高い、深みのある輝きを発する上質な青貝は、螺鈿の材料の中でも特に希少で現代ではなかなか入手困難となっています。上質な青貝の特徴は、何といってもその深みのある蒼色と翠色の輝きを有すること。ご覧になる角度、光りの当たり具合により、蒼色から翠色に変化しながら澄み切った美しい天然の輝きを発します。
しかしながら、これほど美しい輝きを発する螺鈿も、ご覧になる角度によっては下のお写真のように黒漆に馴染んでほとんど光を発しません。不思議ですね。

・木製漆青海波文様螺鈿かんざし【hpkmc260516-1】¥121,000(¥110,000+税)
(生地(麻布きせ有)/螺鈿蒔絵:永真/大きさ:約縦137㎜、横80㎜、厚み4.5㎜)
ご参考までに↓
「べっ甲青海波螺鈿金蒔絵かんざし・櫛|黒留袖から準礼装までお勧め」2023/10掲載商品 【完売】

鱗文様の鱗には“さかなへん”が付いているので、魚の鱗という意味もありますが、こと文様に関しては龍や蛇などの鱗を指しています。古い鱗を落とす(脱皮する)と同時に、身に付いた厄も一緒に払い落とし、そしてまた再生することから、厄除けや魔除け、悪霊退散、そして再生の意味が込められています。
鱗文様には硬い鱗により外敵から身を守るということから、古くは戦国時代の武将の衣服や武具などの装飾にも用いられてきました。
現代でも同じ身を守るという意味から、私も持っておりますが、長襦袢の地紋にもよく用いられていたり、半衿や帯〆、帯揚げ、扇子など和装小物の柄にもよく用いられています。

・木製漆鱗文様螺鈿かんざし【hpkmc260516-2】¥121,000(¥110,000+税)
(生地(麻布きせ有)/螺鈿蒔絵:永真/大きさ:約縦137㎜、横80㎜、厚み4.5㎜)
ご参考までに↓
「蒼翠色に輝く縁起物の鱗文様が美しい、べっ甲螺鈿かんざし2020・②|希少な青貝(夜光貝)を贅沢に使用|普段のキモノから準礼装の装いまでお勧め。」2020/07掲載商品 【完売】


七宝柄(文様)の円(楕円)の四分の一ずつを重ね合わせた文様を「七宝文」、またこの「七宝文」を上下左右に規則正しく並べたものを「七宝つなぎ」と呼び、礼装用の袋帯の柄としてもよく見かけます。
円(輪/和/縁)が規則正しく幾重にも連なったさまは、「永遠」、「調和」、「ご縁」、また「人と人、親と子、祖先と子孫のつながり」にも重なり、これはまさに七つの宝にも匹敵するような大変価値のある(大切な)ものという意味が込められています。
ちなみに、七つの宝とは、仏(ほとけ)の教えを記した仏典(ぶってん)、「無量寿経(むりょうじゅきょう)」では、「金」、「銀」、「瑠璃(るり)」、「玻璃(はり/水晶)」、「硨磲(しゃこ/しゃこがいの殻)」、「珊瑚」、「瑪瑙(めのう)」の7つ。
また「法華経(ほけきょう/ほっけきょう)」では、「金」、「銀」、「瑠璃」、「玫瑰(まいかい/準輝石)」、「硨磲」、「真珠」、「瑪瑙」の7つとされ、現代でも珍重されている宝飾です。
この七宝文様はじめ、青海波や鱗なども繰り返しした文様には、永遠に続くことの象徴という意味が込められています。

・木製漆七宝文様螺鈿かんざし【hpkmc260516-3】¥121,000(¥110,000+税)
(生地(麻布きせ有)/螺鈿蒔絵:永真/大きさ:約縦132㎜、横80㎜、厚み4.5㎜)
ご参考までに↓
「蒼翠色に輝く縁起物の七宝文様が美しい、べっ甲螺鈿かんざし2020・③|希少な青貝(マダカ鮑)を贅沢に使用|普段のキモノから準礼装の装いまでお勧め。」2020/07掲載商品 【完売】
【木製漆かんざし】
使用する木材はマツ科トウヒ属の常緑の針葉樹、スプルース材。木目がまっすぐで細かく(糸柾目)、耐水性や弾力性に優れることから、良質なものはピアノの響材やギター、ヴァイオリンなど高級弦楽器の表板にも使用されている。日本では古くからまな板や桶など水回り製品に多く使われてきた。
生地作りは、湾曲したかんざしの形状に合わせて成形した型を用いて、木目を縦横に違えながら多くの楽器メーカーが使用するタイトボンドで一枚ずつ締め込み圧着。乾燥後にまた一層、また一層と張り合わせていき、かんざしの場合は通常五枚の板を締め込み圧着して製作します(積層造り)。
次に螺鈿や金蒔絵を施す前の下処理として、成型された生地に蒔き地を施します。漆100%(国産漆輸入漆混合)を塗った表面に炭粉を蒔き、充分に漆を吸わせ乾燥させた後に再び漆を塗る。この工程を3,4回行い、相当硬く丈夫な下地に仕上げます。
その後、さらに漆で下塗り、中塗りをそれぞれ2,3回施し、そしてやっとべっ甲に施すのと同様の工程で、螺鈿や金蒔絵で装飾して仕上げます。まさに作り手の洗練された技術、そして大変な手間と時間を掛けて製作されています。
大きな板面の場合はさらに強度を増すため、下地処理を施す前に高級漆器などに用いる麻布を漆で貼る麻布きせを施します。
耐久性に関しては、上記の製作工程、さらに蒔絵や螺鈿には国産100%の漆を使用していることからも、一般の漆器類と比べてもかなりの強度があります。余ほどの力が加わらない限り破損することは御座いませんが、べっ甲とは異なり継いで直すことは原則できません。
【普段のお手入れ】
日常の髪飾りとしてのご使用には何ら問題は御座いませんが、一般的に漆は直射日光を嫌いますので、強い日の光の当たる場所や乾燥した場所への長期間に渡る放置はお避け下さい。使用後はべっ甲と同様に、メガネ拭きのような柔らかい布で優しく髪の油や整髪料を拭い、桐箱に入れ適度な湿度のある箪笥などにお仕舞いになることをおすすめします。この辺りもべっ甲製品のお取り扱いとほぼ同様になります。
今までべっ甲製品にご興味を持たれながらも、ワシントン条約により歯痒くも販売をお断りしてきた海外の方の目にも、きちんと製作工程などを言語化して説明ができれば、きっと日本のかけがえのない伝統工芸の技、手仕事による素晴らしいモノ作りに、さらにご興味を持っていただけることでしょう。

どのようなかんざしがおすすめか、分からないことなど御座いましたら、どうぞお気軽にご来店の上ご相談ください。色々とお話を伺いながら、ご予算を含め、常時取り揃えております数百種類の中から、最もふさわしいかんざしをお勧めさせて頂きます。
「鶴は千年、亀は万年」古来より縁起物として、広く祝事に尊ばれてきたべっ甲。
一生に一度の晴れの舞台、結婚式などに出席される新郎新婦のお母様、ご親族の方、またご列席されるお客様も、是非べっ甲のかんざしをお勧め致します。べっ甲であれば、大切に保存して頂ければ、一生持ちますし、べっ甲職人が磨けば、ほぼご購入当時のべっ甲本来の輝き、美しさが何度でも蘇ります。また万が一、足などが折れてしまっても修復が可能です。そういった意味からも、べっ甲は次の世代へも受け継いで頂ける素晴らしいかんざしです。
※1980年にワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に日本が批准し、それ以降、べっ甲材料の輸入量は段階的に減っていきました。そして、日本が開催国となった第8回(1992年)締約国会議(加盟国で2,3年に一度開催される会議)が開催された年をもって、それ以降現在に至るまでべっ甲材料の輸入が停止されています。現在制作されているべっ甲製品は、その年以前に輸入した材料を少しずつ大切に使用しながら制作されています。
※天然素材(べっ甲、象牙、珊瑚、真珠等)、貴金属(金、銀、プラチナ等)を用いた手作り品は、 製作時に使用する材料、また加工賃等により価格が変動する場合が御座います。また、ひとつひとつ大きさや形状、装飾などが若干変わる場合が御座います。予めご了承ください。
※べっ甲製品の場合、一見同じ様なお品物でも、使用されているべっ甲の品質や厚み等によって価格が大きく変動いたします。
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