早いもので今年もあとわずか(笑)、ハロウィーンも近いということで、本日は夜空にひときわ明るく輝く三日月と、鳥獣戯画から蛙と兎を描いた趣のある木製漆かんざしをご紹介させて頂きます。(2025.10.掲載商品)

鳥獣戯画はご存じな方も多いかと思いますが、正式には鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)と呼ばれ、都市右京区の高山寺に伝わる、甲・乙・丙・丁の全四巻からなる国宝です。内容は当時の世相や暮らしぶりを動物(兎や蛙、猿や虎など一部人物)に例え、今でいう漫画チックに戯画的に描かれた墨画の絵巻物です。
そのユニークさから、和装小物の業界において扇子や袋物、風呂敷など多岐にわたり用いられています。

銀白色の兎がハレーションを起こして白飛びしていますが、蛙も三日月も純金を使用した本格的な手描きの金蒔絵になります。漆に顔料を混ぜたり金の粒子を変えることにより、同じ純金を使用した金蒔絵でも様々な表情を生み出すことができます。

かんざしの裏には加賀の名蒔絵師、高田光貴氏の銘が入ります(上のリンク先から氏の作業風景がYouTubeでご覧になれます)。

「家守(ヤモリ)のかんざし|家を守る縁起物、木製漆金蒔絵かんざし」2025/08掲載商品
「ハロウィン仕様のべっ甲かんざし2018|ジャックオーランタン」2018/10掲載商品

・木製漆鳥獣戯画と三日月金蒔絵かんざし【hpkmc251008-1】¥107,800(¥98,000+税)
(生地(麻布きせ無):永真/金蒔絵:高田光貴/大きさ:約縦122㎜、横48㎜、厚み3.0㎜)
【木製漆かんざし】
使用する木材はマツ科トウヒ属の常緑の針葉樹、スプルース材。木目がまっすぐで細かく(糸柾目)、耐水性や弾力性に優れることから、良質なものはピアノの響材やギター、ヴァイオリンなど高級弦楽器の表板にも使用されている。日本では古くからまな板や桶など水回り製品に多く使われてきた。
生地作りは、湾曲したかんざしの形状に合わせて成形した型を用いて、木目を縦横に違えながら多くの楽器メーカーが使用するタイトボンドで一枚ずつ締め込み圧着。乾燥後にまた一層、また一層と張り合わせていき、かんざしの場合は通常五枚の板を締め込み圧着して製作します(積層造り)。
次に螺鈿や金蒔絵を施す前の下処理として、成型された生地に蒔き地を施します。漆100%(国産漆輸入漆混合)を塗った表面に炭粉を蒔き、充分に漆を吸わせ乾燥させた後に再び漆を塗る。この工程を3,4回行い、相当硬く丈夫な下地に仕上げます。
その後、さらに漆で下塗り、中塗りをそれぞれ2,3回施し、そしてやっとべっ甲に施すのと同様の工程で、螺鈿や金蒔絵で装飾して仕上げます。まさに作り手の洗練された技術、そして大変な手間と時間を掛けて製作されています。
大きな板面の場合はさらに強度を増すため、下地処理を施す前に高級漆器などに用いる麻布を漆で貼る麻布きせを施します。
耐久性に関しては、上記の製作工程、さらに蒔絵や螺鈿には国産100%の漆を使用していることからも、一般の漆器類と比べてもかなりの強度があります。余ほどの力が加わらない限り破損することは御座いませんが、べっ甲とは異なり継いで直すことは原則できません。
【普段のお手入れ】
日常の髪飾りとしてのご使用には何ら問題は御座いませんが、一般的に漆は直射日光を嫌いますので、強い日の光の当たる場所や乾燥した場所への長期間に渡る放置はお避け下さい。使用後はべっ甲と同様に、メガネ拭きのような柔らかい布で優しく髪の油や整髪料を拭い、桐箱に入れ適度な湿度のある箪笥などにお仕舞いになることをおすすめします。この辺りもべっ甲製品のお取り扱いとほぼ同様になります。
《木製漆かんざし》
※天然素材(べっ甲、象牙、珊瑚、真珠等)、貴金属(金、銀、プラチナ等)を用いた手作り品は、 製作時に使用する材料、また加工費などにより価格が変動する場合が御座います。また、ひとつひとつ大きさや形状、装飾などが若干変わる場合が御座います。予めご了承ください。
※べっ甲製品の場合、一見同じ様なお品物でも、使用されているべっ甲の品質や厚み等によって価格が大きく変動いたします。
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