黒べっ甲彫金末広帯留|末広を模った趣きのある帯留+彫金豆知識
「販売中」(欠品・製作中の場合あり。在庫状況はお問い合わせください。)
本日は久し振りにべっ甲帯留のご紹介です。扇面を模した黒べっ甲に、末広を模った彫金(金/18K、24K、銀/sv925/赤銅)細工の装飾を添えた、大変趣きのある帯留になります。
帯留をご紹介する度に申し上げていることですが、基本的に「帯留」は洒落ものの装飾になります。よって、お立場やTPOにもよりますが、黒留袖のような第一礼装のお着物にはあまりお勧めはしておりません。しかしながら、先日の茨布べっ甲かんざしの下りでご説明したように、おめでたい末広がりな意匠の帯留であれば、訪問着など準礼装の装いは勿論のこと、場合によっては留袖にお付けになられても宜しいかと思います。(2018.02.掲載商品)
また、もっと帯留についてお知りになりたい方は、こちらの過去記事も合わせてご覧ください。
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「銀製帯留|黒留袖?、訪問着、結婚式、パーティーにお勧め。アコヤパールとシルバーの礼装用帯留」ブログ2014年10月24日号
https://ameblo.jp/ginza-kanameya/day-20141024.html
下はべっ甲と合わせる前、金属部の半製品のお写真ですが、彫金装飾についての工程や豆知識的なことを、製作して下さった彫金作家の「茂虎」さんからお聞きしたことと合わせて少しご説明させて頂きます。
金属工芸には、「鋳金」(ちゅうきん)、「鍛金」(たんきん/叩く)、彫金(ちょうきん/彫る)の3つの技法があります。本日ご紹介するものはその中のひとつ、「鋳金」によるものです。(部分的に彫金?技法も使用しています。)
「鋳金」とは、先ず「蝋型」(ろうがた/ミツバチの巣から出来る「蜜蝋」(みつろう)に松ヤニなどを混ぜて作った材料)で精密な原型を作ります。次にその原型を元に、金属を流し込み型を取る「鋳型」(いがた)を製作します。
今回は上部の扇面部分と、下部の扇骨を別々に製作し、最終的にそれぞれのパーツをロウ付けします。
上部の白銀に輝く扇面の部分には銀(SV925)、下部の金色に輝く部分は金(18K)を鋳型に流し込み鋳造。そして出来上がったものを金属やセラミック性の鑢(やすり)などで成形、必要に応じて紙やすり炭砥ぎ(すみとぎ)、バフがけ、セーム皮などで磨いて仕上げます。
扇面の銀が、とてもいい感じの艶消しに仕上がって仄かに白く輝いています。これは、「白仕上げ」と言う光沢の無い白色を生み出す技法で、銀をバーナーで本体が真っ赤になるまで熱し、その後希硫酸に漬けて急冷すると銀が白く発色します。これを2、3回繰り返しています。
「白仕上げ」はその製法から、傷や指紋、油等によるシミが付きやすくなるため、表面を保護するためにラッカーでコーティング処理をしています。大量生産では表現の出来ない、手作り感のあるとても趣きのある表情に仕上がっています。
次に、白仕上げをした扇面部分に、ところどころ金色に輝く箇所がありますが、これは純金(24K)を用いた「真砂象嵌」(まさごぞうがん)と言う伝統技法が用いられています。
真砂象嵌とは、板面に鏨(たがね)で叩きくぼみを作り、そこに金などを叩いて埋め込むという技法です。それと似た技法として、江戸時代の刀の鍔(つば)の装飾などにも見られる「摺付象嵌」(すりつけぞうがん)と言う技法があります。こちらは読んで字のごとく、板面に細い線や文様などを切り込み、そこに金などを摺り込む技法を言います。
いずれにしても、とても根気のいる手の込んだ作業になります。
そして「要」の部分には「赤銅」を埋め込み、べっ甲の土台に固定するため芯立てをした銀(SV925)製の裏座をロウ付けして完成です。
製作にあたり、色々と難しい指定をさせて頂きましたが、白仕上げした扇面と黒べっ甲のコントラストがとても美しく映え、扇面の箔使いを模した、真砂象嵌による扇面も、とても上品で趣きのある表情に仕上げて頂きました。
黒べっ甲で制作した扇型の土台も負けじと、重厚に贅沢な厚みを持たせて製作させて頂きました。
・黒べっ甲彫金末広帯留【hpobf180202-1】¥180,000+税
(べっ甲:大きさ:約縦30㎜、横53㎜/三分紐・四分紐対応)
(彫金:茂虎/大きさ:約縦22㎜、横35㎜/扇面:銀SV925/象嵌:金24K/扇骨:金18K/要:赤銅)
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※べっ甲製品の場合、一見同じ様なお品物でも、使用されているべっ甲の品質や厚み等によって価格が大きく変動いたします。
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