『入船(いりふね)』、『出船(でふね)』・・・
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よく仕入れに行く、とある呉服問屋のトイレの扉に『入船、出船ご協力下さい。』と従業員、お客様宛てに張り紙がしてあります。
ん『入船』『出船』何のことやら
入船出船とは、元々は旧日本海軍の教え(精神)から来ているのだそうですが、船舶の桟橋への係留方向についてのことです。
車で例えると、駐車する際、前進で車の先頭を奥にして停めるのが「入船」、後進で車の後尾を奥にして停めるのが「出船」です。出るときのことを考えると「出船」のほうが「入船」より楽ですよね。 このことから、『後のことを考えて事前にひと手間掛けましょう』と言うのが本来の意味です。
<べっ甲・オランダ船>(参考品)
ではこのトイレに書かれた『入船、出船』とは・・・、昔、鈴木健二さんのお書きになられた『気くばりのすすめ』と言う本がありました・・・。『殺伐(さつばつ)とした現代に、人が必要としていることはいったい何だろう人と人との心をつなぐ原点は、ほんのちょっとの“気くばり”だ。人が人を求める限り、気くばりは生き続ける』
そうです、『後の“人”のことを考えて(気くばり)トイレの使用後のスリッパの向きを変えましょう』と言う意味です。
我が家の玄関、トイレにも張り紙したいところですがそれはさて置き、まったくこの呉服問屋のトイレにはいい言葉が貼ってあります。きっと社長さん初め、従業員の皆さんの心にもこの精神が行き渡っているのでしょう。
なんて以前より感心していたら、今朝の新聞の折り込みチラシにこんなものがありました
『話題のアイデア商品!両方から履けるサンダル!ぬぎっパ 』
写真を見て納得、サンダルの向きを変えずに足の甲に当たる“引っ掛け”がほぼ中央にあり、角度も変えられ、サンダルの向きを変えずともどちらの方向からでも履けるのだそうですがこれでは『入船』『出船』どころか、気くばりの精神も何もあったもんじゃありませんよね
などと、朝からひとり愕然としてしまったのは私だけでしょうか・・・
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